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No.08 「高名の木登り」

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〜 部長リレーコラム 〜

No.08 「高名の木登り」


sikisi_s.jpg 吉田兼好著の『徒然草』の有名な一節に、「高名の木登り」という話があります。木に登って枝を切っている人を、下から指図している木登り名人が、もう飛び降りても大丈夫という高さになってから「気を付けろ」と声をかける。それを見ていた兼好が、「なぜ、もっと危険な高い所では声をかけないで、低い所で声をかけるのか」と質問します。そうすると、木登り名人は「高い所では、自分で気を付けるので声をかけないのです。間違いは、簡単な所でこそ起こるものですから」と答え、兼好が感心するという話です。
 お点前の時(稽古でも茶会でも)、お客様から茶碗が返ってきて、お仕舞いの動作に入っていくと、よくこの一節が頭をよぎります。どうしても、お茶を点てる時に緊張感が高まり、それを終えると安心しまうので、「まだ終わってない終わってない……」と言いきかるために思い浮かぶようです。本当は、お点前中こんなことを頭がよぎっている時点で、ダメなのでしょうけど(笑)。
 今年の「静」の字のように、静観、静座、静修…心静かに平常心でありたいと思う1月です。


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