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学び舎

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〜 連載 学び舎〜

No.95「茶事で使われる箸の種類」



茶事では役割に応じてさまざまな箸が使われます。


【懐石の箸】
食箸(じきばし) 折敷にのせて持ち出される客用の箸。
・利休箸(りきゅうばし)
赤杉でつくられた両細の箸。
長さは八寸五分(約25.8センチ)。
菜箸(さいばし) 鉢にのせて取り回し用に持ち出される青竹の箸。趣向により白竹を用いる。
・中節(なかぶし)
焼物鉢と八寸に用いる。
全体を先細りに削り、節が天から三分の一のところにあるもの。
長さは九寸三分(約28.2センチ)。
 ・元節(もとぶし)
預け鉢に用いる。
止節・天節ともいい、節が天にあるもの。
長さは七寸五分(約22.7センチ)又は八寸(約24.2センチ)。
 ・両細(りょうぼそ)
香物鉢に用いる。
節がなく中央部から両端を次第に細く削ったもの。
長さは八寸(約24.2センチ)。
 ・矢筈(やはず)
一善合わせるともとが矢筈形になるように削ってある赤杉の箸。
強肴、疵のつきやすい鉢を用いる場合に使われる。
長さは六寸(約18センチ)。


【菓子器の箸】
黒文字(くろもじ) 二本を箸一膳として、菓子鉢に添えて持ち出される。
鉢の大きさの釣り合いをみて七寸(約21.2センチ)又は八寸(約24.2センチ)のものを用いる。
杉箸(すぎばし) 善哉などに使用する。寸法は六寸(約18センチ)。


【塵穴の箸】
塵箸(ちりばし) 茶室の躙口の脇にある塵穴に立てかけてある大きな青竹の箸。
長さは一尺四寸一分(約43センチ)。


【火箸(ひばし)】
炭道具の一つで炭火を扱う用具。
種類により炭斗に仕組まれたり、杓立に立てられたり、水屋の箱炭斗に仕組まれたりする。
・風炉用火箸(ふろようひばし)
風炉用は柄がなく中を空洞にした素張(張抜きや袋張ともいう)のものが好まれる。
象嵌や透しの入ったものもある。
炭斗に仕組んで持ち出す。
・炉用火箸(ろようひばし)
炉用は柄がついており、風炉用より少し長く、一般的に桑柄のものが多い。
他に松・梅・桜・杉・桜皮なども使われる。
炭斗に仕組んで持ち出す。
・飾り火箸(かざりひばし)
台子・長板の総荘の際に杓立に立てて飾っておく。
真鍮・南鐐・鉄などででき、装飾的な頭が付き、象嵌・透し彫などを施したものも多い。
風炉・炉の区別なく用いられる。
・長火箸(ながひばし)
箱炭斗に仕組み、水屋で用いる。
鉄製の輪頭で長さ一尺二寸五分(約37.9センチ)。


このように一度の茶事の中でも、シーンに合わせてさまざまな箸を準備して使い分けています。
普段から使いなれているお箸とは違い、素材もサイズもそれぞれ違います。
改めて正しい箸の持ち方、扱い方を意識して、茶事でスムーズに扱えるよう箸の所作を身に着けたいものです。







参考文献
『茶道具百科5 炭道具・莨盆ー扱いと心得ー』淡交社編集局編(淡交社)
『茶道具百科6 菓子器と懐石道具ー扱いと心得ー』淡交社編集局編(淡交社)