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学び舎

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〜 連載 学び舎〜

No.88「釜」


 茶会で何を重要視するかは時代によって違います。掛軸や茶碗を重用することがあっても、名前が茶会と同じように用いられるのは釜だけです。井伊直弼はその著『茶湯一会集(ちゃのゆいちえしゅう)』で「此釜一口にて一会の位も定まるほどのこと」と書いており、釜が茶道具の代名詞であることがうかがえます。鋳物のため地味な印象ですが、釜肌、釻付、摘みに座とデザインに富んでおり、見どころが満載なのです。
 拝見をする時にまず見るのは形ですよね。釜についての本を見るとわかるのですが、種類だけでも30ぐらいあります。よく見かけるものだと、茶湯釜の基本的な形をした真形(しんなり)釜や富士山の形に似ている富士釜、インパクトの強い兜釜や車軸釜など、学び舎では説明しきれない量があります。ちなみに坐忘斎家元好は糸目釜鯰鐶付(いとめがまなまずかんつき)になります。
鉄一色の大きな塊と見せかけて、鑑賞ポイントをたくさん持っている釜。釜肌や釜底、口造りに釻付、蓋の形。見たいところが沢山あり過ぎて、拝見に時間が掛かってしまわない様に、次の茶会の前に本などで勉強してみるのはいかがでしょうか。

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参考文献
『茶道具百科2 釜と炉・風炉ー扱いと心得ー』淡交社編集局編(淡交社)