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学び舎

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〜 連載 学び舎〜

No.67  「名水について」




名水とは、『茶道に適した古来名高き水をいう。』と原色茶道大辞典(淡交社)に記載されています。

◆京の名水と茶の湯◆
三方の山に囲まれた京都は、山紫水明の地であると共に、清冽な地下水が豊潤なところでもあります。
昔から名水の湧き出る井戸が随所にあり、この水が京都の文化を支えてきました。

「京の三名水」、「都七名水」、「茶の七名水」、「伏見七名水」、「醍醐三水」など、京都にはさまざまな名水がありました。
※一部石碑のみの場所もあり。

また、名水を茶の湯に用いることも盛んに行われていました。

茶の湯では、①佐女牛井(さめがい)を天下一の名水とし、②柳の水、③宇治橋三の間の水を加え、「天下の三名水」と伝えています

裏千家にも「梅の井」の名水があります。

◆名水点◆

名水には特別な点前があります(濃茶でするのがふさわしい)。
木地の釣瓶の水指を使用し(水で十分に湿りを与える)、しめ飾りをすることで、客は名水を使用していることがわかります。
また、客は茶を喫する前に名水を所望し、亭主の心入れに応えます。



◆茶書に見る名水の条件◆

最古の茶書といわれる唐の陸羽の著した「茶経」には、次のように記されています。(以下、口語訳)

『茶を煮立てる良い水として、一に山の湧水、二に川の流水、三に井戸の水としている。山の水は、湧き水や岩清水のように緩く流れているのが良く、激しく湧きたつ急流の水は飲んではいけない。川の水は、人里から離れたものを汲み、また井戸水はよく汲まれたものを選ぶ』

『朝会、昼会、夜会でも茶の湯には明け方に汲んだ水を用いる。これが茶の湯者の心構えで、いつでも暁から夜の茶会までの水をきらさないように用意しておく。』

『夜会だからといって午後の水は使わない。夕方から夜半までは、陰であるため水の生気が沈んで毒がある。夜明けの水は、陽の最初の水で水の清らかな生気が盛り上がっていて、いわゆる井華水である。茶にとって大切な水だから、これを常に用意しておくのが茶人の心構えとして肝心である。』

※井華水…早朝、最初に井戸から汲む水で、1日の中で最も清浄な水とされている。日本では、元日の最初に汲む水を若水そ称し、これも井華水。

◆名水にまつわる年中行事◆

①貴船の水まつり(貴船神社)
毎年七夕の日に、祭神の水の神の水徳を讃え、水の恵みに感謝する神事。
裏千家による献茶式が行われています。

貴船神社は、全国に鎮座する水の神様の総本宮があります。
干ばつや水害に苦しんでいた5世紀頃、中神武天皇の母とされる玉依姫(タマヨリヒメ)が、黄色い船に乗り水源を探し貴船川に至り、水の神様を祀ったことが貴船神社の始まり。



②みたらし祭(下鴨神社)
毎年夏、土用の丑の日前後4日間に行われる神事。境内末社の御手洗社で無病息災を祈願。



③宇治茶まつり(宇治市)
毎年10月第1日曜日に、栄西禅師、明恵上人、千利休の3人の茶祖・茶道の先覚者の霊を祀り、併せて茶の史跡保存と宇治茶の振興を図るために宇治橋周辺で行われる祭り。



◆北海道の名水◆

各地の名水はそれぞれありますが、環境省が選定する『平成の名水百選』では北海道は2カ所ありました。

①大雪旭岳源水(上川郡東川町)

②仁宇布の冷水と十六滝(中川郡美深町)

また、「名水百選」選定より30周年を記念して、平成27年には「名水百選・選抜総選挙」が実施され、“”おいしさが素晴らしい名水部門“”第3位に『大雪旭岳源水』が選ばれています。


-茶の湯にとって欠かせない良質な水。古来より茶人の水への思い入れは強く、そこに神経を注いでいたことを窺い知ることができました。

実はつい先日、“”名水でお茶を頂きたい”と思い立ち、大雪旭岳源水を訪れました。汲んだ水で頂くお茶は格別で至福のひとときでした。今後も各地の名水でお茶を頂くことを楽しんでみたいと思います。
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~参考資料~

⚫淡交社 月刊茶道誌 淡交

⚫淡交社 原色茶道大辞典

⚫淡交社 四季折おり 茶の湯ごのみ 風炉の季節