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〜 連載 学び舎〜
No.92「お茶の花」
茶道をするうえで欠かせない抹茶ですが、皆様はその花がどんな姿をしているかご存知
でしょうか。お茶の木にも、実は花が咲きます。お茶はツバキ科の植物(学名は Camellia
sinensis(カメリア シネンシス)、Camellia は「ツバキ属」sinensis は「中国の」を意味す
る)なので、白椿にそっくりな小ぶりな花をつけます。ほのかに柑橘系の甘い香りがして、
3~5 ㎝位の大きさで花弁とがくはそれぞれ 5 枚ずつあり、下向きに咲くのが特徴です。満
開になると、黄色いめしべとおしべが冠のように開きます。10 月頃から 12 月にかけて花を
咲かせますが、生産者さんにとって美味しいお茶を育てるうえでは少々厄介な存在だそう
です。理由の一つとして、木は弱ってくると危機を覚え、たくさん花を咲かせて子孫を残そ
うとすると言われています。生産者さんたちは、茶葉に栄養がいくよう早い時期に摘み取っ
てしまうため、花を見る機会はあまり多くありません。
また花は食べる事もでき、茶葉と同じように煎じて飲むほか、山陰地方では「ぼてぼて茶」
という郷土料理もあるとの事です。元々は、奥出雲の職人さんたちが作業の合間に立ったま
ま口に流し込んでいた労働食だと言われており、乾燥した茶の花を入れ、煮出した番茶を筒
茶碗に注ぎ、長めの茶筅で泡立て、中におこわや煮豆・刻んだ高野豆腐・漬物等の具を入れ
るそうで、お茶どころならではのいただき方と言えます。
最後に、お茶の花言葉は「追憶」「純愛」。冬の季語としてもあり、多くの俳人が句で詠ん
でおりますが、その中の一つ、小林一茶の一句を紹介して終わります。「茶の花にかくれん
ぼする雀かな」。現代訳は、「秋の終わりから、冬の初めにかけて、白色五弁のふっくらした
小さな花を咲かせる茶の木。その花に近づく雀は、まるでかくれんぼをしているかのよう
だ。」大変可愛らしい歌ですね。
参考文献
入間市博物館アリット https://www.alit.city.iruma.saitama.jp/index.html
お茶のことなら山一園製茶 茶柱通信 BLOG https://www.yamaichien.com/blog/
EVERGREEN https://love-evergreen.com/evergreenpost/post/2171
神々のふるさと山陰 http://furusato.sanin.jp/p/area/matsue/73/
Web Bosco https://www.akatsuka.gr.jp/bosco/yamatouta59/