No.86「 涼を感じる」
〜 コラム 〜
コラムNo.86「 涼を感じる」
30度超えという北海道ではあり得ない日々を過ごしているものの、会社は冷房が効いていて過ごしやすい。
だから仕事が休みの日の30度超えは勘弁してほしい。ましてお稽古の日は。
案の定、30度超えになっている週末のお稽古日。茶室は扇風機と団扇が置いてある。
お客さん役でお茶とお菓子だけ食べて帰れないかな。。。なんて怠け者の私は考えていたが、そうは甘くない。
「次はあなたの番よ〜、洗い茶巾でもしてみたら?」と先生。
先生、私は誰よりも暑がりで汗っかきな事ご存知ですか?
風炉の前は炭のせいで2〜3度温度が高く感じるはず。
罰ゲームに当たった気分でとぼとぼ水屋へ。。。
水屋には、ガラスの茶碗が置かれていた。1年に一度しか出会わない茶碗。
「懐かしい〜!!去年もハンカチで汗を拭きながらお点前したっけ」なんて思い出しながら、道具を組む。
準備が整い、意を決して風炉前へ。
「やっぱりあつ〜い。」急いで水屋へ建水を取りに戻る。
一度汗を拭ってもう一度風炉前へ挑む。今度は20分ほど水屋に戻れない。。。
お客さんの背中側に置いてある扇風機の風が点前座まで来ることを願ったりもしたが、運悪くお稽古に来た人が多かったために、人の壁に遮られ、風が一切来なかった。
風炉からの暑さも重なってだんだん汗が流れて来る。なかなかお稽古にも集中できない。
「あつーいあつーい」と思いながら茶巾を絞り、釜の蓋にあずける。
茶碗を持って建水へ。茶碗から建水へ流れる水の音が心地よい。
うん、確かに暑さは変わらないが、気分的に涼めたかも。
暑さを少しでも感じさせないようにと、夏の暑い時期にもお茶を楽しめる先人の工夫に改めて感謝した瞬間だった。