No.69 慈しむ
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〜 部長コラム 〜
部長コラムNo.69 慈しむ
道外へ移り住み、お稽古場が遠くなった今、少しでもお茶の心を持っていたいと、日々の中で心掛けていることがある。それは、一つ一つ丁寧に為していくこと、である。それは特別なことではない。
お箸を揃えて置く。食器を両手で扱う。温かいものは温かいうちに。丁寧な言葉遣いと思いやりをもって。そうすると、日常の生活が生き生きとしたものに感じてくる。慈しむ気持ちも生まれてくる。茶の湯の教えから学んだり感じたりしたことを、しっかりと自分の中に取り入れ、日常の生活の中でどう生かしていくか。心を開いて、人との出会いそのものを大事に思えるようになったりすることも、自分の世界が大きく広がるきっかけとなるのかもしれない。茶の湯の知恵や英知というものがあるのであれば、それを先人からの贈り物と、しかと受け止め、現代社会や日常生活で生かしていくことが、市井の一茶人として道を深めていくことにつながるのではないだろうか。
暮らしの一つひとつを丁寧に為す。朝起きて、新鮮な空気を吸いながら感謝をする。そんな小さな積み重ねこそが、日々の生活における茶の心であると信じたい。
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