コラムNo.92「見るな、感じろ」
〜 コラム 〜
コラムNo.92「見るな、感じろ」
「考えるな、感じろ」
これはブルース・リー主演の映画『燃えよドラゴン』の冒頭での台詞です。
考えては反応が遅れてしまう、考えるのではなく肌で感じて反応しろという意味で稽古をつけている弟子にむかって言っています。
以前、研究会で且座之式をしました。
且座之式では東と半東がタイミングを合わせる箇所がいくつかあります。タイミングを合わせる際には東が半東に合わせた方が合いやすいでしょう。
そのせいか、東はついつい半東の方を見てしまうことが多いように思います。
研究会でも東の方が半東の方を見てしまいました。
そこで業躰先生は「半東を見ないで感じなさい。見なくても合わせることはできます。むしろ見ては遅れてしまいます」とおっしゃいました。
先生の言う通り、東は行動がやや遅れて半東とのタイミングがずれてしまいました。
花月之式でも客が袱紗をつける・しまう動作があります。これも隣を見て行動するとやや動作が遅れてしまいます。
見る→動くでは目線が動きますからどうしてもズレが生じてしまいます。見るのではなく相手を感じて行動すれば、目線は動きませんからズレは抑えられます。
ブルース・リーの「考えるな、感じろ」とは少し違いますが、感じることが大切ということは茶道においてもとても重要なことだと業躰先生のお話と研究会での経験から改めて感じました。
まだまだ考えることもあれば見てしまうこともありますが、少しでも感じて行動することができるようになれればと思います。