No.85「 振り返りの感謝」
〜 コラム 〜
コラムNo.85「 振り返りの感謝」
世界中にはたくさんの言語があり、使われています。全部を知りたいと思えば至難の業ですが、挨拶に関していえば、耳にする機会が多いかもしれません。
なかでも、「ありがとう」に同じ「感謝」の言葉は殊に出会いが多いのではないでしょうか。また、そうであってほしいと願います。
この「ありがとう」ですが、使い方で様々な印象を授受します。即座に返す、重ねて返す、
気持ちを口調にのせて伝える、表情とともに伝える等様々です。
お稽古に行きました。お茶室に入ります。そして、お扇子を膝前に置きご挨拶をします。
「先生こんにちは。総会の折りには大変お世話になりまして、ありがとうございました。お稽古、宜しくお願い致します。」
先生はその日のお稽古の中で、「色々なありがとうがありますが、『いつぞやの時にはありがとうございました』という挨拶は、日本文化の心なのですよ。」と、おっしゃいました。
振り返った感謝の言葉から、また新たな場に繋がるとは何て素敵なことなのだろうと、心が晴れやかになりました。そして、和心の奥ゆかしさに魅せられました。
日本の美人画に有名な「見返り美人図」がございます。ふと足を止めて振り返った姿がなんともいえぬ美しさです。
菱川師宣が浮世絵で伝えたかったひとつに、振り返りの感謝があったのではないかと、つい重ねてしまいます。
さて、皆で揃って、平成版見返り美人図のモデルになってみませんか。