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No.87「香煎について」

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〜 連載 学び舎〜

No.87「香煎について」


茶会の待合で香りという楽しみ方を与えてくれる香煎。
香煎とは、文字どおり「香りよく煎じたもの」意味で、”その香りを楽しむもの”とされています。「こがし」と呼ばれる麦などを煎ったもののほか、山椒などの香辛料をお湯に入れたものの総称です。

【香煎のはじまり】
はじまりは、元禄16年(1703年)創業の京都祇園にある『原了郭』です。
先祖は赤穂浪士四十七士の一人、原惣右衛門元辰。その子、原儀左衛門道喜が剃髪して「了郭」と号して店名にしました。原惣右衛門元辰が、当時の漢方医二代目曲瀨道三(秀吉の主治医)とその弟子山脇玄心(御殿医)らに処方を学び御香煎を製造しました。
通常、茴香(ういきょう)、陳皮(ちんぴ)などの漢方の原料を数種類合わせて香ばしく煎り、粉末状にして焼き塩で味付けされます。
江戸時代になると原了郭は「御香煎所」として宮家・茶人・文人墨客にも愛用されました。東海道の宿場町や茶屋には必ず置かれ旅人の疲れを癒しました。そこから、”茶事の汲み出し”に取り入れたといわれています。

【原了郭での取り扱い】
・志そ香煎  ・青紫蘇香煎  ・あられ香煎  ・御香煎  ・桜香煎

【夏のアレンジ】
・トマト&バジル  ・レモングラス  ・グレープフルーツ  ・ブルーベリー
・ハイビスカス&オレンジ  ・ダマスクローズ  ・マロ―ブルー&レモンバーベナ
・黒こしょう&氷砂糖  ・ライチ ・しょうが&はちみつ

【待合】
本席に向かう前の心を整える場です。主客ともに心を新たにして、清浄な気持ちで茶会に臨めるよう身支度を整え、そして汲み出しで喉を潤おし心と体を整えます。

【汲み出し】
待合で白湯や香煎、桜湯を出すのに用います。

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季節や趣向によって、そして自由な発想で青年部らしさがでる香煎。
香煎席にはルールがないと言われていますが、基本的なことを理解した上で、その可能性を広げながら香煎を楽しめるといいですね。


~~ 参考文献 ~~
〇淡交  平成27年増刊号 待合のはたらき 実践と基礎知識
〇なごみ 2017年7月 ガラスの茶道具を楽しむヒント