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No.15「透木について」

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〜 連載 学び舎〜

No.15「透木について」



 炉の季節もわずかに迫る卯月
暖気にむけ火を遠ざける趣向になり、裏千家では透木釡の季節を迎えます。
わざわざ【裏千家】とつけるのには理由があります。
春から初夏に向けての釣釡、透木釡。いずれも他流儀でも使われるのですが、4月に限定しているのは
知名度のある流儀のなかでは裏千家だけのようです。
裏千家は3月釣釡、4月透木釡に対し、表千家や武者小路千家は3月透木釡、4月に釣釡となっています。
謂れはそれぞれ・・・3月に火を隠すために透木釡をかけ、4月には釣釡で高さを調整し少ない炭の量で
効率よく湯をわかし、その筒釡を5月の初風炉で風炉にのせてしまう。 という一説もあるようで、いずれにしても
美味しいお茶を点てるために、タイミングのあったいい火相で、理想的な湯相に整えるという根本は共
通していることなのでしょう。
さて、そこでその透木釡を据えるのに必要不可欠な「透木」ですが、炭点前を見逃すとまず表舞台に出
てくる機会が少ない縁の下。。もとい、羽の下の力持ちについて紹介します。
透木とは敷木から転化した格子木片で炉用と風炉用があります。
 
 【炉 用】 長さ:三寸九分 幅:七分   厚さ:四分
 【風炉用】 長さ:三寸   幅:六分五厘 厚さ:三分八厘
やはり風炉用の方がひとまわり小振りになります。
また、使われる木材も其々お好みがあり 朴(ほう)は利休好、桐は宗旦好、桜は竺叟斎好、梅は圓能
斎好となっています。 桜や梅は季節的にもわかるような気がしますが、朴の木と桐は、木材の性質を
調べるとやはり耐火、すなわち火に強いという特性をもち、来歴をみても歴史的にふるい木材となっています。
最後に余談ですが遠州流の4月は小間の台目柱と釣釡の天井からの縦の線が重なる事をよしとしないため小間では透木釡を、広間では釣釡を使うそうです。
北国の桜前線はまだ少し先ですが、桜の木の幹がピンク色に染まる光景は、開花へ向かっての生命の息
吹を強く感じる神秘的な情景です。

 manabiya