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No.17「灰型について」

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〜 連載 学び舎〜

No.17「灰型について」


   利休百首に「茶の湯とはただ湯をわかして茶をたててのむばかりなる事と知るべし」があります。ただ湯を沸かして茶を点て、飲むだけのことです。口ではそう一言でいえても、実際に行ってみると、なかなか難しいものです。風炉の時季になりました。
今回は風炉の灰形について少しふれたいと思います。
灰形にも真行草があり、九種類の灰形と鱗灰真行草に分け、裏千家では真は鱗灰、行は二文字押切・丸灰押切・向一文字前谷・遠山(一つ山・二つ山・左勝手)・向山、草は二文字掻上・丸灰掻上・藁灰となっています。

【二文字押切】
灰形の中で基本的な形で、最もよく作られ、使われる灰形です。本勝手のほか逆勝手、中置などに用いられます。風炉の前後に一文字を切り、仕上がりから二文字となります。前後の高さ・傾斜の角度を同じにし、谷の曲線も平均させます。底に坎の卦を入れ、蒔灰を施します。
【丸灰押切】
 二文字押切の次によく作られる灰形です。鳳凰風炉・常盤風炉・透木風炉・琉球風炉・朝鮮風炉・瓶掛などに作られます。風炉にそって丸く切られた形が美しい灰形です。
【遠山】
 風炉の向こう側に山をかたどったものをいいます。道安風炉・紹鷗眉風炉・利休面取風炉・紅鉢風炉など、灰形がよく見える大振りの風炉などに好ましい灰形です。
【向山】
 10月の名残の時季、中置の場合の灰形で、土風炉・唐銅風炉などに適しています。風炉の五徳の向こう爪の中央に山を作り左右対称な灰形です。
【二文字掻上】
 鉄風炉・鬼面風炉・切掛風炉に用い、二文字に押した上に、火箸などで掻上筋を入れます。筋目は奇数で、風炉の大小により7筋から11筋までとします。掻上は水を表しているので底に坎の卦も蒔灰も施しません。鉄風炉のみに作ることから侘びた風情に合う灰形といえます。
【丸灰掻上】
 五徳に合わせて丸灰に仕上げ、その上に間隔を等しく掻上、筋数は偶数となります。鉄類の道安風炉・紅鉢風炉・眉風炉・琉球風炉・朝鮮風炉・欠風炉・透き木風炉・常盤風炉・瓶掛けなど鉄風炉のみに作ることができる灰形です。必然的に侘びた取り合わせに好まれます。掻上は水を表しているので底に坎の卦も蒔灰も施しません。
【向一文字前谷】
 大形の風炉に小形の釜をかけるとき、風炉中の火気が見えすぎないようにするために考えられたものです。五徳の向こうを一文字に、前は前土器に沿ってまるく仕上げます。
【藁灰】
 風炉の名残の欠風炉に用いる灰形です。丸炉や侘びた風炉などにも用います。二文字押切または丸灰押切に焼いた稲藁を一本一本置いて完成させる手の込んだ灰形です。

「京都のどんどん焼けのとき、一番に灰が入った箱を持ち出した。」という逸話は、茶をたしなむ人にとって、灰がいかに大切なものかという話としてよく例えられています。使って手入れをするたびに少しずつ減っていく灰を無駄にしないよう、ていねいにふるって、ときには新しい灰を足しながら手間をかけて手入れを行います。灰を見れば茶人の力量がわかるといわれるほど長い年月をかけて灰を作り上げていきます。
 灰匙は灰形を作るときに必要な道具です。古くは炭手前用の灰匙1本で仕上げたそうですが、これはよほどの名人といえるでしょう。今は、いろいろな灰匙がありますが基本は、小判のような平たい形、笹葉のような細い形、底面が丸みのある形、場合によっては底押し型を加えた灰匙で作り上げていきます。灰形の稽古を続けることで、手に馴染んできます。灰形作りの上手な人は、灰匙に自分なりに手を加え、工夫して使うそうです。
 灰形が上達するには回数をこなさなければなりません。かなりの年数がかかるかもしれませんが、繰り返し稽古して灰に慣れてきたいものです。


参考図書:『実用 灰形をつくる』淡交社『新版茶道大辞典』 

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