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No.74 「お茶の味」

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〜 連載 学び舎〜

No.74  「お茶の味」



 抹茶の味を決めるもの

茶の味に大きく影響を与える成分は①アミノ酸類、②カフェイン、③カテキン類である。もちろん、他にも不可欠な要素はあるが、上記の3種類に注目してみる。

アミノ酸類:茶葉には30種類のアミノ酸が含まれている。その多くを占めるのが上品な旨味を感じさせるテアニンである。また類似のアミノ酸としてグルタミン酸がある。これは昆布の旨味成分である。たまに「海藻っぽい味がする」と表現する方がいるが、それはグルタミン酸が入っているからかもしれない。
カフェイン:植物アルカロイドの一つで、眠気を覚ます効果がある。カフェインは苦味があるが、すっきりとした苦味である、茶を飲んだ後の爽快感を与えてくれる
カテキン類:タンニンとして知られているが、茶における渋み、苦味の要素とされる。茶には不可欠の味である。

中川致之が発表した上級煎茶滲出液のグラフでは、
浸出温度:50度に比べ90度の場合は、アミノ酸が8%減少し、タンニンが5%増加する。カフェインは29%増加する。
=湯温が高ければ、甘味が減少し、渋み・苦味が強くなる。
 ただカフェインの苦味はすっきりとした爽快感がある。
浸出時間の変化:時間が長くなるにつれて、タンニンが多く抽出され、相対的にアミノ酸の比率が減少する。カフェインの溶出量はほぼ一定の比率であり、浸出時間はカフェインの味の変化に影響を与えない。


上記を踏まえると、濃茶のお点前において水を差すことは湯温を下げ、アミノ酸などの甘味成分の抽出を促している。また時間が長くなるとタンニンの抽出が多くなるため、短時間に練り上げるのがよいのかもしれません。そして茶事の最後でいただく薄茶は後炭を経て、釜の煮えるのを待ち、熱いお湯で点てることでタンニンやカフェインの抽出を促し、後味をすっきり爽快感が得られるようになっているのでしょうか。
茶事における濃茶と薄茶の役割を理解し、温度や時間を意識することで今まで以上に美味しいお茶に出会えるのかもしれません。
そして普段抹茶を飲む時は、すっきりしたい時には熱いお湯で、甘味のあるお茶を飲みたい時は少しぬるめのお湯で。その日の気分でお茶を変化させてみるのも楽しみの一つかもしれません。

参考文献:堀内國彦著:茶の湯の科学入門

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