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No.40「湯について」

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〜 連載 学び舎〜

No.40「湯について」



9月にはいり、10月の名残がおわると、風炉ともしばしお別れ炉開きの季節がやって参ります。
茶の湯には欠かせない「湯」について
風炉の季節、濃茶を練る前には水を一杓、釜に水を差してから練るわけですが、
「湯相を整える」という作業は、ところところ登場する所作でございます。
口切りの頃は茶の香気がピークの状態で、湯の煮え加減は最高の「松風」の湯相(ゆあい)を使います。正月になるころには、それより低い「雷鳴」というように、徐々に湯の煮え具合が低くなって参ります。(この釜の「鳴り」を表現したものですが、実は5つあるそうです)

それが風炉の頃になって、沸き立った湯を入れると、茶の香りは抜け、色も悪くなるため水を一杓差して煮音が落とすことにより茶気を損なわずに対応できるそうです。
暑い盛りに暑気を散らすために水を差すとの解釈をするのは心得違いと武野紹鴎が説いたとのこと。
点前のなかには無駄な所作は一切なく、一つ一つに意味があることを認識しておりますが、茶の湯にとって湯相、火相は茶の湯の原点。
お茶の湯相、火相については、薬を煎じるときの火相にも相通じるものがあり、利休様の頃の医者が「不老長寿の妙薬」にもなるはずと褒めたたえたとの記録もあるそうです。

猫舌の私にとって絶妙な温度のお茶に出会うと嬉しくなります。
湯の服加減と表す、「加減」という言い回しについて、日本独特の表現で、奥ゆかしく、国民性を表す感じる言葉のように思います。
近年、お茶も保存技術が向上し、いつでも缶を開けると一年中美味しいお茶を飲むことができます。
手順の決まりとなっているものの、道理を理解することで、心の置きどころを少し改めてみることができるように思います。


参考文献:南方禄 立花実山 原編著 戸田勝久訳