No.29「志は深くもつことは覚悟を決めること」
〜 連載 学び舎〜
No.29「志は深くもつことは覚悟を決めること」
“ 志ふかき人にはいくたびも
あわれみ深く奥ぞ教ふる“
ソフトバンクの孫正義さんの座右の銘は「志し高く」だそうです。
利休さんは志しを「高く」とは言わずに「深く」と言っています。
上へ上へではなくて、下へ下へ(中へ中へ)と表現しているところが孫さんとは対照的ですね。
志を深く持つとはどういうことでしょうか。
私はこれを「覚悟を決めること」だと考えています。自分の決めたことに対する覚悟をしっかりと持っている人が
「志ふかき人」なのです。
そんな志のふかい人だからこそ、なんどでも奥義を教えてもらえるのですね。
そして、そんな人が高みを目指していくのでしょう。高みを目指すから志を高く持てるのではないでしょうか。
この句は教える側の言葉ではないと思います。
この句は一見、志を持っている人にはよく教えてあげなさいという教える立場からの言葉に思えます。
ですが私は、この句を教えられる側の人がよく考えなければならない言葉だと思っています。
お金を払っているのだから教えてもらって当たりまえ
〜を教えてください
〜のときはどうしたらいいですか
この質問をするときに、自分で答えを考えてから言っていますか?
「わからないから聞けばいい」は間違っています。
これは数学の問題を自分で解くまえに答えのみを聞いているのと一緒です。
数学の問題をみて、まず自分で解いて、自分で答えを出す。それからこの答えはあっていますか?と聞きにいきませんか。
自分の答えを出してから確認にくるひとに、先生は何度でもわかるまで教えてくれますよ。
ですからそういう人になりましょう、と利休さんは言っているのではないでしょうか。
志ふかき人にはいくたびも
あわれみ深く奥ぞ教ふる
覚悟を決めて、自分で答えを出してみましょう。