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No.56「小宇宙への誘い」

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〜 連載 学び舎〜

No.56「小宇宙への誘い」




ある時、スピリチュアルの好きな友人に茶道をしていることを話したところ、「お茶って宇宙らしいね。詳しくわからないけど、お茶をしている友達が言ってたよ」と返ってきた。「宇宙って何?茶道の何が宇宙?」と疑問だらけで、茶道の中の宇宙探しがはじまりましたが、すぐに答えは見つかりました。そこには陰陽五行説が関わっており、私自身もっと知りたくなりました。

「陰陽五行説」は古代中国の哲学で、「陰陽説」と「五行説」という二つの説が合わさってできた考え方で、この世の中の一切の万物は陰陽二気によって生じ、木・火・土・金・水の五行に配当されるという思想で、宇宙にはこの五つの気が絶えず循環しているとされています。
陰陽五行説の詳しい説明は割愛させていただきますが、日本文化にも大きく関わっているため、ご興味がある方は調べてみてください。
茶の湯の空間は陰陽五行思想に基づいて構築されており、その空間は大宇宙の凝縮された小宇宙であると考えられているようです。

5月に入り風炉の季節となりました。そこで風炉釜と陰陽五行思想の関係について記載したいと思います。


陰陽からみる風炉釜の構造


唐代に陸羽が著した『茶経』「四之器」には、「坎が上に、巽が下に、離が中に」と風炉釜の基本構造が記されています。
坎は水☵であり一番上にある釜の中の水のこと、巽は風☴であり風炉釜の一番下、風炉の三本足の中を風が通り抜けて火を起こすことを表します。
離は火☲であり、風炉釜では風と水の中間にあります。
この水の卦☵と火の卦☲の上下に重なった卦は、六十四卦の六十三番目の卦で「既済」と言われ、完成を意味し茶に最も適した湯が完璧なことを表します。
また火の卦☲と風の卦☴の上下の重なり合った卦は六十四卦では鼎を意味します。鼎は三足と決まっているので風炉の足も三足となっています。古代中国の鼎の形が今もそのままの姿で使用され続けているのです。
こうして坎(水)・離(火)・巽(風)の自然の原理で湯が創造されます。


五行からみる風炉釜の構造


風炉釜は図に示すように、宇宙の五元素である五行を備えた、バランスの取れた存在です。

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陸羽が「体は五行を均しくし、百疾を去る。」と示し、宇宙の五元素である五行のバランスが取れていれば、病気にならないと述べています。また、『茶経』では、宇宙の五元素がバランスよく配され、陰陽交合する風炉釜で創造される「湯」が体を病魔から守ると述べられています。
茶の湯が健康に良い理由として昨今ではカテキンとかビタミンAが多く含まれているという薬理的な効能が強調されていますが、先生方でお元気な方が多いのは、陰陽五行のバランスが整っているからなのかもしれません。

陰陽五行説は奥が深くまだまだ小宇宙の説明には不十分ですが、茶席に入り風炉釜を眺めるとき、宇宙の存在原理に目を向けそのバランスを感じるのも一興かもしれません。

参考資料:
・陰陽五行でわかる日本のならわし  長田なお (株式会社 淡交社)
・淡交別冊 陰陽五行〜茶の湯の中の易思想〜  (株式会社 淡交社)