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No.75 「風炉における小宇宙」

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〜 連載 学び舎〜

No.75  「風炉における小宇宙」


4月になると、そろそろ始まる初風炉の準備。
風炉や五徳、風炉灰等北国の【夏】を感じる要素の一つではないでしょうか。
風炉といってセットになるのが灰型です。半年ぶり灰型にはいつまでたっても火が回るかドキドキの瞬間です。
その火床にかかれているのは【坎】。 水の掛です。
茶の湯と切ってもきれないのが「陰陽の世界」

起源は中国の戦国時代までさかのぼり、それが日本に伝来したのは7世紀初頭と推定され、「日本書紀」に示されております。

生命の根源であり宇宙の活力でもある「気」を陰陽に分けますが、その元となるのが、図1にある「太極」で、まさに炭所望で使う「巴半田」はこれにあたります。
太極から陰陽の二元(両儀)となり四象となり、八卦相重ねて六十四卦となり易が完成します。
茶室の作り。台子における飾りつけ、全て陰陽五行がもととなり、風炉中の世界も同様です。
種炭を置く火床の灰に水の卦を画く。陰(水の卦)と陽(種炭)の和合によって火相(ひあい)が整い、その火によって湯相(ゆあい)を整える。
よき茶を点てる為の湯は水と火という陰陽の反する二気がよく交わることによって生まれ、それは一服のお茶を点てる為に亭主が果たす役割の最も大切なこととされ、それは利休道歌の「茶の湯とはただ湯をわかし茶を点てて飲むばかりなる事と知るべし」に示されています。
春の日差しに包まれながら、この小宇宙を感じていただく一服もまた新たな発見につながるのではないでしょうか。

図1図2
参考・引用文献
【茶の湯と陰陽五行】 淡交社
【陰陽五行 茶の湯のなかの易思想】 淡交社