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No.55「軸について」

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〜 連載 学び舎〜

No.55「軸について」




お茶会はもちろん、普段のお稽古でも床には軸が掛けられています。
茶室に入り軸を拝見することで、茶席における亭主の想いに心を馳せ、また季節や趣向を楽しむこともできるでしょう。先輩に、軸を前に「ごちそうだからね」と嬉しそうに拝見する方がいらっしゃいまして成程素敵な表現だと納得したものです。

お茶を始めてからしばらく経った頃に客として入っていたお茶席で、お正客が軸について半東の方とお話ししていた際に「中廻しは?」と尋ねられました。その時の自分の頭の中は「チュウマワシ…?とは??」となり勉強が足りないと反省したものです。思えば、青年部の茶席で半東を務めたことはありますが、軸の読みとその意味、書いた方、この席で掛けるに至った想いなどを伝えるのみでした。

そこで、軸の名称について拝見する順におさらいしようと思います。

①本紙
書画が書かれている台紙。本紙には絹本(生糸で平織りしたもの)、絖本(絹の練糸で繻子織りしたもの)、紙本があり、茶席の掛物は侘びの趣旨から紙本が多く用いられます。まず書かれている語句や画賛、次に筆者や落款を拝見します。

②一文字
本紙の上下にある横裂。金襴や印金などの名物裂が用いられます。

③中廻し
本紙が張ってある裂地。一文字に次ぐ名物裂が用いられます。本紙の左右のみを指す場合は「柱」といいます。

④天・地
中廻しより上の部分が天(上)、下の部分が地(下)。紗や絓(しけ:繭から生糸を手繰る始めの方の粗糸で真綿の材料)などが用いられ、天と地は同じ裂地です。

⑤風帯
表木(軸上部に付けられた半月形の木)から下がっている、二本の細い裂。一文字と同じ裂地を用いるのが一般的ですが、中廻しと同じ裂を用いる場合もあります。また、表装を簡素化したものとして唐紙を細く切って貼り付けた押風帯もあります。風帯の先両端についている小さな房を露といいます。

⑥軸
軸木(軸下部に付けられた軸を巻くためのもの、重りの役割もある)の両端に付けるもの。茶席では塗りや竹のものが多く用いられます。


20210405225921_p最後に。
『南方録』に「掛物ほど第一の道具ハなし…墨蹟を第一とす、其文句の心をうやまひ、筆者・道人・祖師の徳を賞翫する也…」とあります。
亭主がこの日のために選んだ語句の意に敬意をはらい、筆者の徳にふれ、同席させていただくという気持ちを意識して真のお辞儀をすると軸の拝見への意識も変わってくるのではないでしょうか。

参考資料:
淡交テキスト お稽古必携 亭主の学び・客の習い3 (淡交社)