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No.39「灰について」

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〜 連載 学び舎〜

No.39「灰について」



 茶の湯において「灰」は重要な役割を担い、また、茶の湯ほど灰に深い関心と愛着を寄せている日本文化はないかもしれません。灰は茶人が手塩にかけて作り上げるもので、災厄にあった時には茶人は灰の甕(かめ)をまずは持ち出すと言われるほどです。
 今回は灰の中でも風炉灰・炉灰・湿し灰についてまとめてみました。

風炉灰
ふくさ灰ともいいます。木炭灰(炭を燃やした後の灰)を目の細かい篩(ふるい)にかけ、ゴミや燃えかすを取り除きます。その灰に水を入れ攪拌(かくはん)し、浮いたゴミ・くずなどを取り除きます。沈殿した細かい灰を天日に干し、さらに篩にかけます。
これが風炉灰となります。風炉灰の他、火入れの灰にも使います。

炉灰
4月末に炉から上げ、炭の燃えかす等を篩で取り除き、一旦甕(かめ)に保管しておきます。
夏に再び篩にかけ、水洗いをし、浮いた細かなごみを取り除きます。この作業を2〜3回繰り返します。天日干しをして乾燥させ、最後に篩にかけ炉灰となります。
甕に仕舞い保存し、11月に出して炉中に入れます。

湿し灰
炉灰をさらに水洗いし(4回程度)、番茶の煮汁で色付け、9割程度乾燥させたものです。
乾ききらないところで甕に仕舞い、ある程度湿度の保たれる冷暗所に保存します。
この作業を3〜5年繰り返し続けると灰が育ち、独特な味わいが出始め、年数を重ねるごとに極上の灰が出来上がります。

風炉灰・炉灰の違い
どちらも元は同じ灰です。手入れの過程で、篩の目の大きさ(風炉の方が目が細かい)、水洗いの回数によって性状に違いが出てきます。水洗いの回数が多ければ多いほど、灰汁(あく)を取り除くことになります。灰汁がある(水洗いの回数の少ない)風炉灰は押さえると灰同士がつながり、形をなす(=灰形ができる)灰となり、灰汁が少ない(水洗いの回数が多い)炉灰はサラサラとした性状の灰となります。

乾燥させる時期
夏の土用(立秋前の18日間、2019年は7月20日〜8月7日)の最も暑い時期に手入れをします。早く乾かすこと、太陽に十分当てることによって、雑菌の繁殖を防ぐとされています。
灰を育てるには手間と時間がかかります。また炎天下の作業は大変ですが、長い年月をかけて自分の灰を育てていくのも楽しいかもしれません。
今年の夏からまずはチャレンジしてみてはいかがでしょうか。    
                     

   参考資料:淡交社 「茶道具百科 炭道具・莨盆」
        淡交社 「茶の湯の基本 灰と灰形」