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No.77 「茶の湯の羽箒」

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〜 連載 学び舎〜

No.77 「茶の湯の羽箒」



羽箒 とは鳥の羽で作られた茶道具や席中を清めるための用具で、茶事の内容や好みに合わせて用いられます。
鳥の羽は塵や埃の汚れをよせつけない清浄なものとされており、しなやかで柔らかいため、掃く対象を傷つけることがなく、真塗の棚や炉縁を掃く茶の湯の箒には不可欠なものです。
羽箒は掃き清めるために使用しますが、羽の美しさに扱うことがはばかられるような気持になります。
そんな羽箒についてまとめてみました。

羽箒の種類形状・羽の種類など扱いなど
三つ羽・三枚の羽を束ねて竹の皮で手元の部分を包み元結で巻いたもの
・(最上品)、白鳥、白鶴、玄鶴、野雁、鷹、鷲、鴻、梟などの羽を用いて作られる
・形状は三種
「右羽」向かって右側が広いもの
風炉本勝手、炉逆勝手、向切本勝手、隅炉逆勝手に用いる
「左羽」向かって左側が広いもの
風炉逆勝手、炉本勝手、向切逆勝手、隅炉本勝手に用いる
「双羽」左右が同じ広さのもの
真の炭手前に用いる
風炉・炉、兼用として用いることがある

・炭手前の際に風炉や炉縁、釜の蓋などを清める際に用いる
一つ羽・一枚羽で出来た羽箒・暑中、または装飾用として用いる
掴み羽箒・左右のない羽根15枚を一束にしたもの・水屋で使う箱炭斗に仕組まれるもの
・風炉や炉縁などを清めるのに用いる
飾り羽箒・装飾用
・白鳥、鶴の片翅で出来たもの・茶事中、炭手前のあとに席中を掃き清める座掃に用いる
・鴻、鶴などの片翅で出来たもの・茶事中、亭主が迎付の前と中立のあとに席中を掃き清める座掃きに用いる
小羽箒
小羽ともいう
・全長10センチくらいの小さな羽箒・茶箱で箱の蓋を清めるときに用いる
・茶掃箱では茶器に茶を掃き込んだり茶器の口や蓋を清めたりするときに用いる
・火入や風炉の灰際を整えるのに用いる


羽箒1 羽箒2 羽箒3

羽箒は最近では原料の羽の入手難と職人さんの減少で貴重なものとなってきているようです。
一層、丁寧に扱っていきたいお道具の一つです。

参考文献
* 茶道具百科第5巻 炭道具・莨盆 ―扱いと心得―  淡交社
* 『茶の湯の羽箒 知られざる鳥の文化誌』下坂玉起 著  淡交社