No.20「利休道歌」
〜 連載 学び舎〜
No.20「利休道歌」
入門したばかりの頃は利休道歌とは「その道に入らんと思う心こそ我身ながらの師匠なりけれ」の事だと思っていました。記名ではないのをいいことに告白すると、京都で行われた青年研修会で「稽古とは一より習ひ十を知り十よりかへるもとのその一」と業躰先生がおっしゃった時、利休道歌が他にもあるとは思っていない私はぼかーんとしてしまいました。とても恥ずかしい経験ですが、いい思い出です。
利休道歌とは利休居士の教えを百首の歌にしたものです。裏千家の咄々斎という部屋と大炉の間との境にある反古襖と呼ばれる4枚の襖には、玄々斎が道具のことや点前のことを書いており、終わりの部分には「利休居士教諭百首詠」と題して利休道歌があります。その反古襖は宗家研修や青年研修会で見ることができますので、ぜひまだの方は参加して実物を読んでみてください。次のお稽古で先生のご指導がいつもより、心に伝わってくると思います。
私の中で推しはもちろん「稽古とは一より習ひ十を知り十よりかへるもとのその一」です。この道歌を目にすると、最初に習った“一”より十を知ってからの“一”が、より深くなる様にお稽古に励まなくてはと感じます。皆さんもぜひ推しを見つけてみてください。