No.83「茶箱点前について」
〜 連載 学び舎〜
No.83「茶箱点前について」
普段、何気なくお稽古で茶箱点前をしていますが、そもそも通常のお点前の他になぜ茶箱を使うようになったのか、改めて調べてみました。
茶箱とは、遡ること利休居士の時代から旅行用・携帯用として使われており、抹茶を点てるための最小限の道具一式がコンパクトに収められている箱のことです。
十一代玄々斎によって「茶箱点前」が創案されたそうです。
茶箱点前は場所を選ばず、お茶室がなくても、季節の設えや特別な道具を用意しなくても、茶箱を開けた瞬間から、自由に本格的な茶道を楽しめるものです。
また、茶箱の中のお道具は季節ごとに変えたり、見立てのお道具を使用したり、おもてなしをする方に合わせた道具組を自由に楽しむ事が出来るのは、茶道を知らない方にとっても親しみやすいお点前であります。
しかし茶箱点前は1つの点前として確立されています。
十一代玄々斎が、日本の四季に合わせた「花(春)」・「卯の花(夏)」・「月(秋)」・「雪(冬)」
を考案されました。
その後、十四代淡々斎が四季を問わない「和敬」・「色紙」を考案され、計6種類があります。
基本的に、茶箱の中から必要な道具を手順に従い取り出し、また茶箱の中にきちんとしまうまでがお点前となっています。
お稽古を始めた頃に師匠から、茶箱点前は通常のお点前をするためにお道具の扱いを学ぶ大切なお点前であると教わったことを思い出しました。
基本を学びつつ、気軽で場所を選ばず時間と空間を創造することができるのが茶箱です。
自宅にあるお道具を見立てて、ぜひ自分なりの茶箱にチャレンジしてみたいと思います。
参考文献
「茶箱教室」. 光雲庵. https://xn--54q004a937b.tokyo/box/