No.44「花入について」
〜 連載 学び舎〜
No.44「花入について」
床のしつらえはお客様が最初に拝見するところですが、今回は床のしつらえの中でも「花入」について調べてみました。
【花入の分類と薄板の種類】
花入は素材や形状により「真・行・草」に分類され、やきものでは磁器や染付系は真、釉薬の掛かった国焼[くにやき]は行、釉薬の掛からないものや楽焼は草となります。
また、花入を畳床に置く場合、薄板に載せます。薄板にも種類があり、花入の真・行・草によって使い分けます。ただし、板床では薄板を用いず、また籠花入にも薄板は用いません。
◆真の花入
古銅・青銅・青磁・彩磁・白磁・染付・祥瑞・赤絵など
※使う薄板の種類:「矢筈[やはず]板」…真塗で端に切込みがある矢筈板を用いる。
◆行の花入
砂張や磁器の釣舟花入・施釉の国焼
※使う薄板の種類:「蛤端[はまぐりば]」…塗りで端が貝の口のようになった蛤端を用いる。
◆草の花入
南蛮焼・無釉陶・楽焼・竹・瓢・籠・木工品ほか
※使う薄板の種類:「蛤端(杉木地)」または「丸高台[まるこうだい]」…杉木地の蛤端、または円盤状の丸高台を用いる。 杉木地は湿らせ、拭き取って使用する。
【床への荘り方】
◆茶事の場合
茶事では基本的に、初座の床には掛物、後座の床には花を荘ります。
真・行・草いずれの花入も、掛花入は床中央の中釘(無双釘)に掛け、置花入は床中央に置きます。
◆諸荘りの場合
床に掛物と花入が一緒に荘り付けられた状態を「諸荘り[もろかざり]」といい、茶会や稽古などでよく見られます。炭手前を略する場合、紙釜敷にのせた香合を荘ることもあります。
花入・香合の位置は、床や掛物の種類、花入の真・行・草によって異なります。
花入はお花との取り合わせや種類によって薄板を使い分ける必要ですし、床や掛物とのつりあいも考えなければならないので私も含め難しいと感じられている方も多いかと思います。淡交テキストを読むと、何より大事なのは花を活かすこと、と書かれていました。お花が映えるようなしつらえができたらより一層お茶を楽しめることと思います。
※参考文献:淡交テキスト「やきものを知る12のステップ」