No.36「夏ころも」
〜 連載 学び舎〜
No.36「夏ころも」
六月一日の衣更えをもって、きものの装いも「夏ころも」となります。
涼やかなお顔で単衣や薄物を纏う日本女性の着姿は美しい夏の風物詩ともなっています。
夏ならではの文様として萩、桔梗、野菊などの秋草文様は季節の先取りとしてよく用いられています。
また、流水や波の曲線が涼感を見せるのと同様に、涼感をいざなう雪輪文も夏のきものや帯によく見られます。
昨今は時代とともに文様も移り変わりをみせますが、茶席でのきものは季節を取り入れることに変わりはありません。
同じ楓でも、青々とした楓は初夏のきもの、黄色や紅に色づく紅葉とよばれるものは、秋の柄と心得て使われています。
袷の季節にはない涼感ある色遣いや、その季節にしか用いられない文様のきものと帯、小物との取り合わせは、茶道のお道具選びに通じるものがあると思われます。