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No.76 「漆について」

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〜 連載 学び舎〜

No.76 「漆について」



漆を和英辞典で調べるとjapanと訳されている事からもわかるように、漆は日本と関わりが深いという事は世界的にも認められています。日本の伝統文化である茶道と漆は深い関係にあり、様々なお道具に漆が使われているのを見ても茶道に漆は欠かせない物であるというのはすぐに想像できます。

漆の木はアジアにしかなく、中国や日本、そして日本の漆とは種類は違いますが東南アジアの国々で生育していて、その樹液を塗料や接着剤として使っています。日本では岩手県が漆の一大産地として知られていて、日本の漆の約7割が岩手県二戸市浄法寺で産出されています。また、世界の中で漆が取れる北限は網走市で、北海道では江差町でも本州から移植された漆の木があるそうです。

漆は現在ほとんどが中国からの輸入で、国内で使われる漆のうち日本産は全体の6%ほどしかありません。日本産の漆は高品質なのですが、中国産と比べると4〜5倍以上の価格差があるそうです。日本では6月から10月末、11月初旬の間に漆を採取する掻き採りが行われ、職人さんが4〜5日おきに傷をつけてヘラで少しずつ樹液を採取します。一度樹液を掻きとった木は伐採され、伐採した木の根本から新しい木が育ちまた樹液が取れるまで15年ほど育てます。1本の漆の木からは一生で200gほどしか樹液が取れないそうなので、漆がいかに貴重なものかがわかります。

※漆の掻き採りに使う道具
 現在漆掻きに使う道具を作っている鍛冶職人は全国でただ1人。
 金属の部分は鍛冶屋さんが用意し、柄は使う人が自分で作成して付けます。

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右上から時計回りに
タカッポ〜掻き採った漆を入れる樽
エグリ〜秋になると木の皮が厚くなりカマでは上手く剥げなくなるため代わりに使う
ヘラ〜樹液を掻き採るために使う
カンナ〜木に傷をつけ右側の突き出ているメサシと呼ばれる部分で刺しながら引いて漆の滲出を促す
カマ〜木の表面の皮を剥いで平にするために使う
ゴングリ〜掻き採った漆をタカッポから保存用の木の樽に移す際に使う

※漆の種(白い方の種が殻の中に入っています)
 種の白い蝋の部分はとても硬くそのままでは植えても芽が出ないため、硫酸につけて溶かしてから使用します。昔は木灰を使った方法でも行われていました。もっと昔は鳥が食べてその役割をしていたのではと言われているそうです。
 
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