No.85 「茶事七式」
〜 連載 学び舎〜
No.85 「茶事七式」
私たちはお茶事をする事を目標に日々お稽古をしています。茶事を催すことはこれまで修練した薄茶、濃茶、炭手前などの総仕上げといえます。
茶事には季節や時間、趣向によって種類があり、「正午の茶事」を基本とし、「朝茶事」「夜咄の茶事」「暁(夜込め)の茶事」「飯後の茶事」「跡見の茶事」「臨時(不時)の茶事」の7種類に分けられ、これを茶事七式といいます。この他にも一客一亭、口切の茶事、立礼の茶事、名残の茶事などがあります。
「正午の茶事」〜昼食を伴った茶事で一年を通じて行い、午前11時から12時までに案内をして、約4時間の間に、風炉の場合は懐石、初炭、中立ちをして濃 茶、後炭、薄茶点前をします。炉の場合は初炭、懐石、中立ちをして濃茶、後炭、薄茶点前をします。
「朝茶事」〜 朝食を伴ない、主として夏季に行う茶事で午前6時頃に案内して、約3時間の間に初炭、懐石、中立ちをして濃茶、後炭を略して続き薄茶の点前をするのが約束になっています。この茶事は、客を涼しくもてなすことを第一とします。
「夜咄の茶事」〜夕食を伴ない、主として冬季に行われる茶事で日没により異なりますが午後5時から6時までに案内をして、約3時間の間に前茶、初炭、懐石、中立ちをして、濃茶、後炭を省略して続き薄茶の点前をするのが約束になっています。この茶事は、客を暖かくもてなすことを第一とし、灯芯、蠟燭の光の下で行う茶事で、風情、趣きがあり、それだけに難しい茶事だといわれています。
「暁(夜込め)の茶事」〜暁から次第に夜が明けてゆく姿や残灯の風情を楽しむ、一年で最も寒い2月頃に行う茶事で、午前4時に案内して、約3時間の間に、前茶、初炭、懐石、中立ちをして濃茶、続き薄茶の点前をします。
「飯後の茶事」〜一名菓子茶事とも呼び、一年を通じて行われ、文字通り食事後の時刻に案内をする茶事です。午前であれば9時過ぎ、午後であれば1時過ぎの案内の場合、飯後の茶事となります。風炉の場合、吸物八寸や点心程度のごく軽い食事の後、初炭、中立ちをして濃茶、続き薄茶の点前をします。炉の場合は、初炭、吸物八寸や点心などの軽い食事の後、中立ちして濃茶、続き薄茶の点前をします。その時刻、催しによっては一概にい えず、正午の茶事のように基準がなく形式が定まらないので、順序が入れ替わったり略されることもあります。
「跡見の茶事」〜亭主から客を招待して催す茶事に対して、跡見の茶事に限り客のほうから亭主に申しこむことになっています。跡見はその字の通り、その日に催された茶事の跡をうかがうものです。亭主にとっては二度の催しとなり、よほど懇意な間柄でないと申し込みません。吸物八寸、炭改め、中立ちをして濃茶、続き薄茶をしますが、順序の入れ替わりや略されることもあります。
「臨時(不時)の茶事」〜茶事を催す場合は前もって案内をするのが普通ですが、突然の来客を迎えて茶事を催すこともあり、これを臨時(不時)の茶事と呼びます。定法がなく、亭主の見せどころの多い茶事といえます。
参考文献
・裏千家茶道教科12 茶事 上
・裏千家茶道教科13 茶事 中
・裏千家茶道教科14 茶事 下