№250「記録と記憶」

~コラム~
コラム№250「記録と記憶」
今、このコラムを読んでいただいているとき、もしかしたら、コラムがほとんどない状態かもしれません。情報技術が進み、あらゆる情報を記録として残そうと思えば残すことができる時代となりました。しかし、その反面、操作を1つ誤れば、記録が消えてしまう時代でもあります。
記録ができ、すぐ確認ができるようになってから、皆さんは記憶や思い出を大切にされていますでしょうか?出来事を記憶ではなく、記録に残すことに重きを置いていませんか?私は、撮影や広報誌の作成をすることが多いですが、そこに終始すれば、一参加者のあるはずなのに、思い出が残ることが少ないと感じます。そのため、いざ、そのときに何か印象に残ったかと言えば、すべてが平準化され、表すことができません。
この時代だからこそ、思い出を大事にしていただければと思います。この1年間、社会的にも様々なことが起こりました。それを未来で、記録を振り返ることも大事ですが、一人ひとりがそれぞれ感じていることを大切にしていただければと思います。お茶席も、そのときに会うことのできたお道具等は次にいつ会えるかもわかりません。一期一会が詰まった茶道だからこそ、思い出を大切にし、一瞬一瞬に感覚を研ぎ澄ませていただければと思います。また、一つ一つのことを為すとき、実施の方法は技術であり、様々な方法があります。表面は技術で賄えても、深層は取り繕うことができません。記録で、なんとなくわかってしまう時代だからこそ、大切なことは、そこに注ぐ想いであり、それがそれぞれの感性に触れ、記憶に残ることが大切です。
今年は、ポジティブなことも、ネガティブなことも、記憶に残る時代でした。
来年は、一碗を通して、皆さん方の記憶に残る一年となるよう精進していきます。
今年一年、ホームページをご覧いただき、またともに活動いただいた皆さんに感謝申し上げるとともに、来年の北海道ブロックの飛躍をお誓い申し上げ、2024年の最後のコラムとさせていただきます。
一年間ありがとうございました。
